三等米コシヒカリと展示された、十キロ入り二千九百八十円の食味分析の食味値が「七一」、 ディスカウント店で売られていた秋田仙北産の「あきたこまち」が三千九百六十九円で食味値が「七一」。 安売り店やスーパーマーケットの米を、仲間同士の米屋が二十数人集まっての試食勉強会が開かれた。
商品は全部で八種類、八台の同じ型の電気がまが並べれられて、同じ水加減などの条件での炊飯である。 その中で、食味値の最高は「七六」の一九九八年産、三重「コシヒカリ」で十キロ四千八百八十円。 試食会メンバーが、おいしいと評価したのが食味値「七三」の九八年産、福井「ハナエチゼン」で十キロ四千百六十円。
機械での食味値、人間の食感応値、おのおのの金額、どれを信じて良いものやら。 われわれのように毎日、米にかかわっている者でさえ、食味と金額、内容の不透明さに 「米のことは分からない」ということの現実をあらためて味わった。
当日のメンバーたちの感想は、二千九百八十円の三等米コシヒカリを除いては、 どの米も「それなりに食べられる。まずくはないが、うまいとはいえない」だった。
ある業界紙によると、A市の米の消費者アンケートの結果、米穀店から米を購入しているのは七・四%とか。
一般的に米の価格は、年産、産地、銘柄による仕入れ価格を参考にマージンを上乗せして販売しているが、 価格は即、商品、特に「味」の価値につけるものである。銘柄や産地がどうであれ、食べるものである以上、 その食味に価格をつけることが原点であり、そのことが信用を生むのであろう。