今年度産の米が出そろった。各産地の米を取り寄せて試食し、情報や資料をもとに、 よりおいしい米を売っていきたいと思っている。ある産地生産グループの提案米も順調に入荷してきている。 生産グループの名を冠したPB(プライベートブランド)米として販売しているのである。
ところが、今年も各生産者による品質の差が著しくといってよいほど違う。 A生産者の米はうまい。B生産者の米を消費者に届けると、その後、「そのグループの米は要らない」と不評を買う。 うまくない生産者のために、その消費者にはこの提携米の全部が良くないと解釈されてしまう。
だから、私どもは事前にチェックしてから販売しないと、この提携米は育たない。 出来れば生産地の方でも出荷前に厳しくチェックして、自慢の出来る米だけを出荷してもらいたい。 生産地と販売業者のダブルチェックで消費者の評判が上がり、高くても売れる商品として通用するのである。
良い米は高く、そうでない米は安く、同じ産地、同じ銘柄でも味によって仕分けしなければ消費者の支持は得られない。 米は外見による等級の価格差はあるものの、個々の米の味による差がないのは「味わう」感覚から外れているのではないか。 各産地では品質が一定になるためと、合理化の名の下にライスセンター方式やフレコンによるこん包などがなされている。
味の評価が一〇点の米と八点の米を同量混米すれば九点の米が出来るのか。 結果は一部を除いて、良くても八点、またはそれ以下になるのを(失礼ながら)気づいているのか。 私が毎日、朝、昼、夜、三種類ずつ一日九種類の米を三十年間試食、記録をとっての結果の話である。