近くのスーパーマーケットで買ってきたらしい十キロの米を自転車のかごに積んだまま、当店で「米をまた買わせて」といった人。 米不足の時、「やっぱり米は米屋だ、これからもずっと買うから売ってくれ」 と夫婦で来て、拝むように買いに来た人。
ちょうど、信号待ちになって車の中から、その前のディスカウントショップの人を見ていると、夫婦が車に缶ビールと米を積み込んでいる。
最近、何か所かの業者が表示と中身の違う米をそのような店に卸していて、穀物検定協会から注意を受けている。 にせ物を「本物だ」と売るために確認マークや認証マークを悪意に利用しているのである。
生産者のにこやかな顔写真が米袋に印刷されて「△△さんが作った米」と大書きされた米は、 悪徳業者によって他の米とすり替えられ、その人の作った米は格上げ米に利用されていると聞いた。
一昔前までは「やみ米」といわれた米が、今は計画外流通米と称され、それが時代だ、などと言われている。昨日の非常識は今日の常識になった。
このような時代の中では、うまく泳いだものが成功者と言われている。
十キロ”ニッキュッパ”(二千九百八十円)”サンキュッパ”(三千九百八十円)で売られている米は、 推定の域を脱しないが外国産米などが混米されているだろう。
それらを買っている消費者はもうその外国産米の味に慣らされている。
近い将来、関税が低くなったとき、国産米の位置、評価はどうなっているのだろう。きょうの常識は明日の非常識になりそうである。