ここにきて、一九九八年産米の在庫を多く持っている流通業者や産地があると聞く。 去年の年末、わが小売業者の会合でも、九八年産は五月ごろには無くなるだろうと話していた。 そのわけは、産地では確実に減反し、その上収量は「やや不良」の九八ポイントだったためである。 そこで目先の聞く人たちが先での値上がりも予想して、割高でも確保したのであろう。
しかし、世相は不況風にあおられ、九五年産、九六年産、九七年産の米が上手に混米され、 量販店などで安値で、どんどんさばかれている。その結果ここにきて、古米などの低品質米と良質米の価格幅が縮まってきた。 早場米地域の米もそろそろ出始め、過去のような高値はなさそうである。
九九年産が出回ると当然のことながら九八年産の値打ちが下がる。 今の間に処分しておかないと……。それでも遅いくらいだ。 当店にも十トン車一台分買わないかと問い合わせが来る。少々の損でも、さばいておかないと、どんどん九九年産が出回る。
消費地の大方の売り場では、主に安い米が売れる。コシヒカリや秋田小町と大書きされたカラフルな袋に入れられ、 十キロ二千九百八十円や三千九百八十円の米が売れる時代だ。
そのような米でも中身がどうであれ食べられる。もちろんうまくはないが、まずくて食べられないこともない。 それらの米は味度計や食味計で計られ、結果、点数によって「コシヒカリ」や「きらら397」の袋に入れられるのである。
リストラ風の吹く消費地の家庭経済状態では安い米が売れるのも仕方がない。 日本全体大きくみれば、古米の消化がスムーズに進んだかもしれないが……
さあ、これからどうする。