今年も超早場米から始まり、新米の季節がやってきた。 しかし、ここ数年、いやもっと以前から、新米らしさを感じない新米が多い。 低温倉庫に入っている古米のほうが、炊き上がりのつやや粘りが良くて、新米よりおいしい。
十年ほど前には「新米まつり」と称してイベントを行うと面白いように新米が売れた 。だがここ数年、客は「笛吹けど踊らず」の状態である。実のところ「新米だ」と威張って売れる米が少ない。 新米らしくないのだ。炊き上がりのつやは悪いし、粘りもない。 その上、新米の香りまでなく、玄米でみると新米らしいのに炊き上がってみると駄目な米が多い。
最近の新米は、なぜそうなったのだろう。感想の仕方か、水分か、それとも炊飯器などに原因があるのか。倉庫にある新米と古米の水分を計ってみた。新米より古米のほうが水分が多かった。 また、炊いて食べ比べたら古米のほうがおいしかった。どうもこのあたりに、新米らしくない米としてのヒントがありそうな気がする。
特に早場米の場合、より新米らしい新米を出荷できる産地が、産地間競争に勝てるのではないだろうか。昨年と同様、今年も初出荷時より時がたつにつれ、価格は下がり気味だ。売れないのは、新米としての魅力がないからだと思う。
昔のように、客から「あの新米まだある。高くもいいから分けて」と言われるような新米が多く入荷できることを期待する。「あの慌てて送られてきた乾燥不足の見本の新米、おいしかったなあ」