豊作になると、またブレンド米離れがおき、「やっぱり一〇〇%でないと……」と言われるのであろう。今年認知されそうになったブレンド米も「混ぜもの」と言うレッテルを張られ、変な常識が復活するであろう。
こんなときこそ、ブレンドの良さを知ってもらうチャンスだと業界の識者は言う。ところが販売サイドの現場では、価格合わせに重きを置いたブレンドだから結局、近い将来うまさの点から「混ぜもの」意識にもどっていくような気がする。昔、「コシヒカリ」と「ササニシキ」をブレンドして「コシニシキ」とか「ササヒカリ」のプライベートネームで販売した業者がいた。そのキャッチコピーが「お互いの長所を生かしたうまさ」だった。だが、短所が生きていた気がするのは私だけだろうか。
ブレンドした米が、単品よりもおいしいか、悪くても同等くらいの味でないと「やっぱり混ぜものは混ぜものだ」と言われる。今がブレンドの良さを知ってもらうチャンスであるのは間違いないが、ブレンドするにも相性がある。相性の合わないブレンドをすると、品質の悪い米の特徴のほうが勝つ。相性が悪いと、九十点の米に七十点の米を半々混ぜると数字上は八十点になるが、食感ではよくても七十点である。このあたりを押さえた業者が業界に多くいるのなら、ブレンドのよさも売り込めるだろう。今どき、高い米は売りにくい。価格を下げるブレンドは必要であるが、「うまさ」に力点を置いたブレンドをしないと、また底の浅い単品販売に戻ってしまう。