「藤井の米は日本一おいしい」。そう彼女がいっていた、と人づてに聞き、その彼女の一言が今までの私の米屋のやり方が、 やっぱり正しいと自身を持たせた。米はブレンドによっても味覚を上げることが出来る。 プライベートブランド「愛米味」をブレンド米と自負できることでもある。
十年前、彼女が某放送局の帰りとかで秘書と二人で、二キロずつお米を買い、その後、 何度か東京の事務所に送らせてもらった。大阪の天満橋の松坂屋で「トキノ」を開店されたときも、 私のえりすぐって作り上げた米を、お店で使ってもらった。
彼女の「日本一」のほめ言葉がなければ、産地や銘柄ばかりに頼った販売を続けていたかもしれない。 彼女の人に対する心配りを教わり、私も一人ひとりのお客様の味覚に合った米を心を込めて届けたい。 そのことを今、新たに心に言い聞かせて商売を続けたいと思う。
他方、昨年暮れも、大事なお客様から歳暮が届けられた。商売でお世話になっているのは私の方なのにである。
そのお客様の店も、より以上繁盛するように、もっとおいしいお米を吟味して届けたい。 そのお店が繁盛し、どんどんお米を使っていただかないと、自店の米も売れないのだから。
私が納品させてもらっているお店は、その店の外部経営者だと思っている。 この心遣いは、先に述べた彼女のふるまいから教わったものである。 私の商売の「心の支え」「励み」「自信」となってここまで来られたのも、その人、鈴木その子先生のおかげである。