今年、福井のJA越前たけふは、苗制限までして「遅植え」で米の品質向上に努めている。業界紙によると多くの産地で「遅植え」を進めているようだ。関東以西の産地、特に兼業農家は休みなどの都合で、田植えはゴールデンウィークに集中している。米は一年中食べるもので、少しでも味のよい米を作り、一膳(ぜん)でも多く食べてもらうことだ。それが米農家を守ることに繋がると思われる。
遅植えだけではなく、より低たんぱくの米を作るための肥料の工夫、乾燥の方法など、とにかくおいしい米を作るための工夫を際限なくやってもらいたい。消費段階では、日本精米工業会の音頭で米の味に点数をつけて、任意表示ながら「特」「上」「並」と三区分表示の基準作りに取り組んでいるらしい。食糧モニターの調査結果で、食味を表示すべきだとの要望に応えるためのもので、買う側も売る側にもメリットがあると言うのだ。産地や銘柄に頼ることなく、味に重点を置くことで消費者にアピールしようと言うわけである。
そうなれば、どこの産地、どの銘柄だろうと「味」に評価を置くことで生産者にとってはより公平な競争ができる。その意味で、おいしさの追求に力を入れることが、各生産者、各産地にとって非常に大事な時期に来た。ある意味ではチャンス到来である。ただ、販売段階では評価地「特」の米は大書きして表示するかもしれないが、「並」の米は表示はしないだろう。